クロスフェード!便利だけど多用は厳禁
目次
クロスフェード(ディゾルブ、クロスディゾルブ)について
トランディションシリーズ、前回のライトリークに次いで今回はクロスフェードについて。
クロスフェードとは、文字で説明するのは難しいのですが、カットの終わりからじわ〜〜っと次のカットに移るやつです。
見出しにも書いてますが、ディゾルブ、クロスディゾルブとも表記されます。
おそらく最もメジャーなトランディションですね。大体どの編集ソフトにもデフォルトのエフェクトとして入ってるかと思います。
なんせこれ使うとどんなに変なカットの繋ぎでも自然に見えます。
ドラマや映画なんかでもよく見るトランディションです。
編集ソフトを使い始めたら真っ先に覚えるのがクロスフェードでもあるし、実際かなり便利でもあります。
カットをつなぐ以外にも、音の編集の際にもよく使います。
例えばカットが変わってロケーションが変わる場合なんかでは、環境音(声などのメインの音声ではなく、背景のザワザワした音など)が急に変わったりすると変な印象になる場合があります。こういう時でも一瞬だけクロスフェードを適用すればそれだけでスムーズに変わったように聞こえます。
そのほかにもBGMが切り替わる際にも使ったりします。
便利だけど多様は厳禁!
映像でも音でも便利に使えるクロスフェードですが、それゆえに初心者の時は多用してしまいがちです。
しかし、クロスフェードを多用してしまうと同じカットのつなぎ方ばかりになってしまうので、視覚的に刺激の少ない映像になってしまいます。
特に連続で使ったりすると、かえって変なつなぎになってしまいます。
やはりどうしてもミクロな視点でカットの前後だけを意識して編集するのに必死になりがちですが、いざ繋いだ映像を通してみてみるとクロスフェードばっかりで、編集者以外の人が見た時に違和感を感じさせてしまいます。
「カットがつなぎやすくて便利」という編集者の意図が視聴者に伝わってしまうのは避けたいところです。これはクロスフェードだけでなく、暗転、明転、ライトリークなど他のトランディションにも言えることです。
最適な使い方を考える
トランディションというのはいい映像を作るためのエフェクトであって、無理やりカットを繋ぐための道具ではありません。
やはり一つ一つのカットに対して、どのように繋げば映像の表現として効果的かというのを考えながらこだわりを持って作ることが重要になります。
よくある使い方としては、同じ画角の引き→寄り(逆も然り)を繋ぐ時に使うことが多いです。
そのほかにもインサートから繋ぐ時なんかもよく使われますね。
また、叙情的なシーンや静かなシーンを切り替えるときなど、余韻をもたせてカットをつなぎたい時にもクロスフェードは効果的です。
クロスフェードの注意点
先にあげたように使いすぎるとよくないということ以外にも、注意点があります。
例えば、AのカットとBのカットの切れ目にフェードを適用するとして、2秒かけてカットが切り替わるとすると「Aカットの尻+1秒」と「Bカットの頭-1秒」が余分に画面に表示されることになります。
このとき、余分に表示されてる部分に手ブレやピンボケがバレてることがあります。
音の場合でも使いたくない音声がクロスフェードを適用してしまったせいで出てきたりします。
これはきちんと再生チェックをしてバレがないか確認すべきところです。もしどうしようもない場合はフェードの秒数を短くしたり、「A+0.5秒」「B-1.5秒」といったように割合を変えてみるしかないでしょう。
本当は撮影の時に、使う部分の前後に余裕を持って長めにカメラを回しておくのが良いのですが、いいカットが取れたと思ってすぐにカメラを動かしたりしてしまうと、このように編集の時にバレてしまったりするんですよね……。
それから、編集ソフトではクロスフェードの秒数のデフォルトは1秒になってるのですが、1秒のクロスフェードはかえって忙しない印象を与えることが多いです。可能なら2〜3秒かけてじわ〜〜〜っとゆっくり使ってあげたほうが、このトランディションの利点を生かせるでしょう。
さいごに
クロスフェードを多用しすぎると映像がダサくなるので、効果的に使う方法を考えながら編集したいですね。
効果的な表現は往々にして多用すると陳腐になるものですからね。
メジャーな映像作品とかをみてても同じトランディションで何度もゴリ押しする映像ってたまにありますが、ああいうのは熟練の編集者がやるから許されるのであって、できれば基本に立ち返ってトランディションなしでも繋がるように作りたいものです。