映像制作のフローチャート 〜撮影編〜
目次
- ○ 撮影編
- ○ 本番撮影に入るまでが長い
- ・映像作品ではカット単位で撮影をしていきます
- ・段取り・カメラ段取り
- ・テスト
- ・いざ本番
- ・撮影後
撮影編
前回のプリプロ編に引き続き、今回は撮影についてご紹介したいと思います。
撮影ってカメラ回すだけでしょ?って感じでしょうが、まぁそうです。
ただ、素人の趣味の範囲での撮影ならともかく、案件や映像作品を作るとなって時間やコストなどいろいろと制限がかかってくると、かなり精度を求められます。
テキトーに撮影して、その後撮影したデータを見返すと、何かとミスが発見されたり……なんてこともしばしばあります。
これを防止するために、撮影前に入念に準備、確認することが必要になります。
という訳で、一般的にプロの現場で撮影時に行うことをなんとなく並べてみようと思います。
本番撮影に入るまでが長い
表題の通り、特に映像作品の現場なんかでは本番の撮影に入る前に色々やることがあります。
・段取り(ドライ)
・カメラ段取り
・テスト
・本番
概ねこんな感じです。
ここで確認を怠って本番を迎え、演技や機材の操作がうまくいかないとなると何度も「テイク」を重ねることになるので、結果的に時間がかかってしまいます。
それだけならまだいいのですが、確認を怠って撮影をして、その時はうまくいったと思っても、その後確認したら映ってはいけないものが画面に「バレて」たり……。
まぁなんにせよ準備や確認は大事ですよね。
映像作品ではカット単位で撮影をしていきます
例えば「Aさん」と「Bさん」の二人の演者がいて、この二人が会話をするシーンを撮る時、その会話を一回で撮影する訳ではありません。
同じ会話の演技を繰り返してもらいながら、
まず二人が会話してるところを広い画角で撮る。(マスター)
次に「Aさん」にカメラを向けて会話の一部を撮影する。
次に「Bさん」にカメラを向けて会話の一部を撮影する。
これで3カットです。
そのほかにも必要なカットがあればまたアングルを変えて繰り返し撮影をしていき、必要なカットを埋めていきます。
上はあくまで一例ですが、ほとんどの場合この様に、1つのシーンをいくつものカットに分けて撮影していきます。
段取り・カメラ段取り
先にあげた撮影前にやる段取りとはなんぞや、平たくいうと演技テストです。
(「ドライ」とも呼んだりします。地域差とかもあるんですかね?)
先ほどカットを割るという説明をしましたが、この段取りでは演者にシーン全体を演じてもらって、演技の方向性を監督と確認します。
この段階ではまだカメラは回しません。
次にカメラの段取りを行います。
プリプロの時に作ったコンテを元に、カメラワークをつけていきます。
また、どこでカットを割るかの最終確認も基本的にはここで行います。
ちなみに、このカメラの段取りは時間がかかるので、演者の方は一度お休みになることが多いです。
ただカメラワークやアングルの確認には被写体が必須なので、ここでは演者の代わりにスタッフが演技したりします。これを「スタンドイン」と言います。
テスト
演技、カメラの両方の段取りができたら、いよいよその二つを合体させてみます。
カメラは回さずに、本番と同じ様に動いてみるのが「テスト」です。
このテストはカットごとに行います。
本番前にテスト、本番が終わったらアングルを変えて再度テスト、本番が終わったらアングルを変えて再度テスト……と繰り返します。
また「本番テスト」というのも存在します。これはカメラを回した状態でテストすることです。
それでうまく撮れてれば本番に入らずOKになることもあります。
まぁ実質本番なので、分類するだけ無駄な気も個人的にはしますが……。
いざ本番
本番に入る直前に、美術部は画角に入っているすべての背景の美術に不備がないか、衣装・ヘアメイク部は演者の見た目に乱れがないかチャックします。
本番中は技術部(撮影、照明、録音)以外は絶対に動かない。声を出すのも禁止、もちろんスマホの電源はOFF。鉄則です。
演者は本番で演技するにあたって、こちらが想定している以上にエネルギーを使っています。中にはカットがかかったあとで動けなくなったり、怒って撮影をストップするなんてこともあります。
ですのでスタッフとしては、演者のケアをすることも非常に重要です。
本番でカットがかかった後はすぐに撮った映像をチェック。OKなら次のカットの準備、NGなら今のカットを取り直しです。
撮影後
作品が全部撮り終わったら終了。監督・カメラ・編集などのポスプロに関わる部署以外は後片付けをして解散です。
ストーリー性のある映像作品を例に出して紹介しましたが、そうでない広告などの短い映像でも上記の手順を簡略化して踏みます。
「ただ撮るだけ」ではない、限られたリソース内で確実な映像を撮るためには、少なくともこれだけの手順を地道に踏んでいく必要があるということです。
撮影が終わったらどうなるか、ポスプロが始まります。
次回、ポスプロ編に続きます。みんなでみよう!