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ミニチュア特撮の基本テクニック3選

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「ゴジラ-1.0」公開直前!

お疲れ様です。

月日というのは早いもので、いよいよ明日、特撮ファン待望の「ゴジラ −1.0」公開です。
ご存知ない方に軽くご紹介すると「−1.0」は「マイナスワン」と読みます。なんでこんな打ちにくくて読みにくくて検索しにくい名前にしたのかは謎です。
超話題作だった「シン・ゴジラ」から7年ぶりの国産実写ゴジラ映画にして、「ALWAYS 三丁目の夕日」や「永遠の0」で有名な山崎貴 監督がゴジラ映画を撮るということで、国内の映画ファンなら誰しもソワソワしてることと思います。

かくいう私も公開初日のレイトショーのチケットを予約済みでありまして、面白いかどうなのかソワソワして夜しか寝られません。

今回のマイナスワンは主にCGを用いた特撮表現になりますが、CGといえども、その画作りは昔ながらのミニチュアを使うやり方を参考にしています。
ゴジラは(少なくとも初代は)全長約50m級のキャラクターですが、スタジオでの撮影時は2mくらいの着ぐるみに人が入って撮影していました。
ではどうやって2mの着ぐるみを映像で50mに見えるようにしていたのか。それはやはり様々な特撮技術の恩恵によるものです。

というわけで今回は、特撮映画によく使われていた特撮技術を軽くご紹介していこうと思います。

①煽り

ネットの皆様は「煽り」と聞くと他人を挑発する行動を指すスラングを連想される方もいらっしゃるかもしれません。

前回のブログでも軽く説明しましたが、ここでいう「煽り」は撮影用語で、被写体を見上げるようにしてカメラを構えて撮影すること。ローアングルのことを指します。

一般的に煽りの構図で撮られる被写体は巨大感がでると言われます。
たとえば、その辺の高層ビルなどの巨大な建築物の頂上を見るときは、見上げますよね?
2メートルのゴジラの着ぐるみを大きく見せたかったら、自分のカメラの目線をグッと下げて、足元から見上げるようにして撮影してあげればいいわけです。

ちなみに、当然ちゃ当然ですが、「煽り」以外の角度から撮られた映像も怪獣映画などでは使われます。そりゃずっと見上げてる画が続いていたら退屈だし疲れちゃいますからね。
怪獣の目線と同じくらいの角度から撮られたカットも、たとえば他の怪獣と戦うときや状況説明のシーンなんかではよく使われますし、
スーパー戦隊のロボやウルトラマンなど、キャラクター性の強い被写体は目線から撮られることが多いです。
このバランス感覚は作品の方向性にもよるし、演出部や撮影部の技量が問われるところでもあります。

ただ一般的には「俯瞰」、つまり上から見下ろすカットはあまり使いません。使えるシーンが限定的だし、怪獣がアクションするための足場がバレてしまいますから。(昔の特撮ファンはこれを「怪獣広場」と呼んでいたみたいです。)
その点、CGで描かれた「シン・ゴジラ」や「マイナスワン」はそういったバレはありませんので、俯瞰のカットも使っていけます。CG ならではの強みです。

②スモーク

ミニチュア特撮で被写体を大きく見せるときに、「スモーク」を炊く場合があります。「フォグ」とも言います。平たくいうと煙、まんまです。
よくMVやライブなどで使われたりもします。

上の画像は弊社オフィスから私が撮った摩耶山と新神戸駅です。

この日はよく晴れた絶好のブログ日和だったわけですが、手前の山や新神戸駅に比べて、奥の山が霞んで見えるのがわかりますか?
なんというか、彩度が低く、コントラストも薄いような……そんな見え方がすると思います。

なぜそうなるかというと、主な原因として、山と自分の目の間には大気があるからです。
大気といっても完全に澄んでるわけじゃなく、水蒸気やそのほかの微細な分子が溶け込んでいます。
遠くのものほど自分との間により多くの大気の層がありますので、このように見えると言えます。(厳密には光の届き方とかも関係してます。)

スタジオで怪獣を撮るセットにスモークマシンという機械を使って煙を炊きます。
白っぽい煙が怪獣や、その奥の風景に被ると、上の画像のように「遠くのものが霞んで見える状態」を再現できますよね。理屈さえわかればすごく単純です。

またスタジオのなかで「外の風景」を再現して撮影するには、かなりの量の照明が必要になります。
が、実際の太陽とは違い、照明はかなり近い距離にあるので、いくら光量を下げても実際の外の風景よりは相対的にコントラストが高い画になりがちです。
そこにスモークを炊けば空気中で照明の光がより分散されて、コントラストが落ちるという役割もあります。

③ハイスピード撮影

飛んでいる飛行機を見上げたところを想像してみてください。

飛行機は我々の目にはゆっくり前進しているように見えると思います。
ところがそれは時速300kmで飛んでいます。とても車の4~5倍の速度で動いてるようには見えませんが、実際にはそうなのです。

こんな感じで、大きなもの、遠くのものは我々の目にはゆっくり動いているように見えるのです。
実際にゆっくり動いてるのではなく、目というレンズの特性上そう見えます。

それを再現するために、怪獣などの巨大なものの動きを再現するときは「ハイスピード撮影」を行う場合が多いです。
ハイスピードと言いますが、普通の感覚で言うスローモーションの撮影のことです。ややこしいですよね。

最近だとスマホでもハイスピード撮影ができますね。昔はフィルムカメラですので、フィルムを送るロールの部分を高速回転させて撮影してたのでハイスピード撮影といいます。

さいごに

「シン・ゴジラ」の際に庵野秀明監督は、フルCGのゴジラでも基本は従来のアナログの特撮の演出論をベースにした画作りにこだわっていました。(同監督はアニメ制作でも特撮をベースにしてるので極端な例ではありますが。)

最初にも申した通り、CGで作る際にもミニチュア特撮などの昔ながらの技術は大いに参考になってます。実物があるかないかだけの違いです。
このような特撮技術が好きで映画ファンになった自分としては、「ゴジラ-1.0」だけでなく、これから出てくる映画の中でどのように技術が進歩していくのか楽しみです。

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