Blog

ブログ 

映画撮影の準備って何やるの? 〜美術〜

目次

お疲れ様です。

6月。

洗濯物が乾きにくい、
片頭痛がしんどい、
「ザ・フラッシュ」と「アクロス・ザ・スパイダーバース」が公開される、
6月が始まりました。

めっちゃ楽しみです。

映画撮影の準備って何やるの? 〜美術〜

今回は早速本題に入ります。

いま、美術担当の撮影の真っ最中なので、現在進行形で弊社では美術の準備が行われています。

そもそも撮影現場での「美術」ってなんぞや?絵でも描くんけ?とお思いかもしれませんがそうではありません。

学生の頃に教わったことを引用すると、いわば「美術」という仕事は「画面に映る被写体以外の全部を作る仕事」だそうです。
大層なことですが、実際は大体その通りです。かといって全部手作りするわけではありませんが。

今回は「美術部」の準備がそのように行われるかを簡単に紹介します。

ほとんど「どこかから持ってくる」仕事

「画面に映るもの全部」とはいっても、被写体は演者さん、登場人物の服は衣装部、ロケの場合は制作部がロケ地を手配して、セットの場合は大道具さんが作ってくれたりします。
美術部はそれ以外を準備したり、綺麗に画に映るように操作したりします。
(ちなみに、予算があれば美術部と大道具は別で存在するのですが、そうでなければ美術部がセットを建て込むことも多いです)

具体的にいうと、演者さんが使う小道具や、部屋の飾りなどがほとんどです。
予算の都合で演者さんの私物や、元々そこにあったものを使わせてもらうことも多いですが、そうでない場合は美術部がそれらを用意します。

映像に必要なものを、在庫になければどこかで買ったり借りてきたり拾ったり、もしくは作ったりする仕事です。

準備前の懸念事項

在庫で持ってない美術を用意する場合、現場が始まったら調達する時間なんてないので、ほとんどは現場が始まるまでがタイムリミットです。

これがめちゃくちゃ大変。監督のイメージや撮影現場の広さや何に使うかの都合を配慮して、適切なものを集めていくのに違う店を何店もハシゴすることになります。
そうなると当然、先んじて時間に余裕を持って準備するのがベストなんですけど、そういった現場の都合やイメージを教えてくれる演出部も暇じゃないので、なかなか連絡ができなくて、美術のことまで頭が回らず、結局タイムリミット1週間前とかになってようやくまともに連絡取れるみたいなことが結構あります。
じゃあ用意するものの方向性が決まったとして、どこで調達できるのか、それは予算内で買えるものなのか、買ったものをどこに保管するのか、どうやって運ぶか、当日現場にはどうやって搬入するか、買えなかったらどこかで借りれるのか、もしくは作るのか、作るならどれくらいの期間と費用で制作できるのか、バラシ(撮影後の片付け)後保管するのか捨てるのか、みたいなことを事前に一つずつ考えておく必要があります。そこまで考えてやっと用意に取り掛かるわけです。美術はこれを無限に繰り返す仕事です。

上にあげた懸念で一つでもエラーが出たら、代案を考えるか、用意できないということになります。
お金で解決できる問題なら、たいした問題ではないとよく言いますが、本当にその通りです。

作り物は大変

買ってくることができるならそれに越したことはないのですが、作るとなるとこれがまた大変です。なんせ、購入するより費用や時間がかかる場合が多いのと、制作中の拘束時間が発生するからです。
いま入ってる現場は僕と上司の二人が美術で参加してるのですが、二人とも作り物を抱えてます。

モノを作らないといけない時ってどういう時なのかというと、架空の場所や商品などが必要な時です。
一例を挙げると、基本的に映画などでは、実際に存在する商品が映るのは嫌われます。商業目的で映画が制作される時は、写ってる商品を製造している会社に許可を取ったりしなきゃいけない場合があるためです。
そういう時は架空の商品のラベルだけ美術部が作成して、既存品のラベルと張り替えたりします。

ちなみに僕はこういう作り物が結構好きです。
先ほども申した通り、美術部ってほとんど既製品を購入したりする仕事なんですが、架空のものを作るとなるとこだわりポイントを入れ込める部分が多く、遊べるんですよね。
基本的にadobeのillustratorというソフトを使ってデザインするのですが、既製品のロゴをいじってみたり、商品名に小ネタを入れてみたり、物語の展開を示唆するような意匠を入れてみたり、結構遊びます。

また、最近あった中だとホテルの張り紙を作成したのですが、そのロケ地のホテルの実際の張り紙にあわせてあえてチープに作るというコンセプトで、illustratorではなくwordやexcelを使って作成しました。

そういった作り物を現場に持っていくと、他のスタッフさんや演者の方からいい反応をもらえたりするのも嬉しいです。

PCで作るような作り物じゃなく、いわゆる造形的な作り物も好きです。もともとガンダムのプラモデルを作るのが好きだったこともあって、ものづくりは楽しいですね。ただ造形物の場合、デジタルでデザインするものよりも時間も費用もかかるので、可能であれば購入で済ませる方がトータルで見たら安上がりではあります。

最後に

美術部のもう一つ楽しいところは、ポスプロ(撮影終了後の作業。主に編集や広報)の作業が一切ないところです。
撮影が終わったら、用意した美術を片付けたら、それでほとんどの仕事は終了です。まぁその代わり、撮影前が大変なんですけどね……。

こんな感じで美術の仕事は進行します。なかなか楽しいですよ。えぇ。


締めが何も思い浮かばないのでまた与太話するんですけど、今年見た中でもトップクラスに愛着のある映画「シン・仮面ライダー」が終映しました。
三ヶ月上映して興行収入25億はかなり残念です。結構、興行収入とか世間での評価とか気にするタイプなのですが、それ以上に僕自身の印象に深く刻まれたらそんなの関係ないよね!っていうことを改めて教わりました。ありがとうライダー!

……ただ、願わくばもうちょっと売れて続編の話とかバンバン出てほしかったなぁ。ソフトか配信が来たらまたみます。

SHAREシェアする

一覧

HOME> ブログ >映画撮影の準備って何やるの? 〜美術〜